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越えてくるもの、迎えいれる者 ― 脱北作家・韓国作家共同小説集

商品説明
出版社:  アジアプレス 出版部
発売日:  2017/12/8
ISBN:  978-4-904399-13-2
判型/ページ数: 4-6 / 286ページ

訳者: 和田とも美
著者: 方珉昊、ト・ミョンハク、イ・ジミョン、ユン・ヤンギル、キム・チョンエ、ソル・ソンア、イ・ウンチョル、李青海、李平宰、鄭吉娟、尹厚明、李星雅、愼珠熙


韓国入りした北朝鮮人作家6人と、韓国の作家7人による共同小説集。脱北作家たちの作品からは、窺い知ることが難しい北朝鮮民衆の暮らしぶりを知ることが出来る。

ユン・ヤンギル作「つぼみ」では、浮浪児(コチェビ)たちの逞しく生きる姿と悲劇の結末が、またキム・チョンエ作「願い」では、漁師と浮浪者親子のささやかな願いすら打ち砕かれる密告社会の有様が描かれる。ソル・ソンア作「チノクという女」では、闇市場で頭角を現し、性の抑圧から脱却してゆく女性の姿が生き生きと描かれ、イ・ウンチョル作「父の手帖」では、脱北して韓国の大学に通う主人公とその父を通して、韓国社会との埋められない溝を滲ませる。

一方、韓国人作家の作品の多くは、脱北者を迎えいれることに焦点を当てる。鄭吉娟の「六月の新婦」は、朝鮮戦争の捕虜として北朝鮮に抑留され、脱北して韓国に入国しようとする夫と、60年間夫を待ち続け、最期のときを迎えようとする妻の物語だ。李青海「どこまで来たの」は、脱北女性との恋愛を通して、どこまで相手の人生を受け入れるのかという切実な問題を浮かび上がらせる。愼珠熙「四つの名」は、韓国に定住した脱北女性の孤独と、彼女を取り巻く韓国の人々の無関心、無理解を丁寧に綴る。韓国社会における脱北者受け入れの困難さと、その現実に向き合おうとしない韓国文壇の姿を指摘する訳者・和田とも美氏の解説も読み応えがある。


<strong>【目次】</strong>
はじめに 和田 とも美

第1部 超えてくる者たちの作品-定着地へのメッセージ
本泥棒   ト・ミョンハク
不倫の香気   イ・ジミョン
つぼみ   ユン・ヤンギル
願い   キム・チョンエ
チノクという女   ソル・ソンア
父の手帳   イ・ウンチョル

第2部 迎えいれる者たちの当惑-引き受ける責任
どこまで来たの   李青海(イチョンヘ)
僕は、謝りたい   李平宰(イビョンジェ)
六月の新婦   鄭吉娟(チョンキルユン)
フィンランド駅の少女   尹厚明(ユンフミョン)
天国の難民   李星雅(イソンア)
三水甲山   方珉昊(パンミンホ)
四つの名   愼珠熙(シンジュヒ)

訳者解説 和田とも美